こんな夢をみた

夢の話をしようと思う。

寝るときにみる方の夢の話だ。

概して夢とは変なものであるが、やはり今回話すそれも奇妙な夢だった。

 

自分はあまり夢を覚えている方ではない。むしろ殆どの場合、綺麗さっぱり忘れる。

起きた直後に忘れていることもあれば、いくらか時間が経って曖昧になることもある。

どちらにせよ夢の記憶力は著しく低い。

なので今回は起きてすぐおおよそのメモをとっておいた。

 その内容だが、自分に縁もゆかりもない人間がみた夢の話ほど興味が湧かないものもないだろう。ただ、それを言ってしまえばこんなブログ自体が無用だ。

兎にも角にも備忘として書き記しておこうかと思う。

 

 密林のような、草木の生い茂る広大な緑の上空を飛んで*1いる。私はどこへ向かおうとしているのだったか。どこか遠く。

 そうだ。これは、修学旅行か何かの行事だった。北へ向かっているのか、南に向かっているのかはよく分からないが、気付いたら目的地にたどり着く。

 ここはどこだろう。知らない人がたくさんいる。周りにいる同行者であるはずの人たちも誰だか見当がつかない。しかしなぜだろう。ひとり目につく人物がいる。

 彼が誰なのか全くわからないのだが、幼少期、その時分の私を取り巻く環境では善意と定義されていた、しかしながら、実際の私の心情からすればはた迷惑とされることを彼からされたような記憶がどこからともなく湧き出てくる。

 私の中に醜い復讐心が芽生え、誰とも知れぬ彼に嫌がらせをする。執拗に怒りをぶつける。どうしてそんなことをしているのか自分でもよくわからないというのに。

 そんな不毛なことをひとしきり終え、彼はどこともなく消え去ってしまう。

 怒りの矛先が消え、手持ち無沙汰でうろうろしていると、「残念だ。少し遅かったね」などと声をかけられる。その声の主もまた、誰なのかわからない。「これでも大丈夫かな」彼はそう言って排水口につっかえている林檎の欠片を手渡してくる。

 そういえばここへ来て彼に会うのは二度目だったような気がしてくる。最初に会ったとき、「林檎はいかが?」という彼の言葉を聞くも、それを断ったのだ。

 私は、その林檎を汚いと思いつつも齧る。と、瞬間、私は帰らねばならないことに気付く。誰かが知らせてくれたのか、思い出したのか定かではないが、私は空港へと走りだす。どうしてだか、自分はこの地に骨を埋めるようなつもりでいたのだが、これはあくまで旅行であることを失念していた。

 他の皆も一様に走り出している。全力で走っているつもりだったが、その距離は離されやがて他の誰も見えなくなる。どの方向へ行けばいいのか自分は知らないはずだったが、直感が私を迷わせることなく進ませる。そのとき、なぜか右手に鉛筆と消しゴムを手にしていた。

 空港にたどり着き、目的地へと急ぎ足で向かう。階段を駆けていく。狭い空間で見知らぬ子供と遭遇し、「ごめん、急いでいるんだ」と私はその横を無理やりすり抜けていく。さらに、格子の隙間を抜けて、自分が痩せていることがこんな時に役に立ったなどと考えながら走り続ける。

 到着した場所にはバスがあった。バスと呼称されていたが、正確な見た目はバンに近いように思えた。急いで乗り込もうとするが、そこには酒瓶が大量にあり、乗車できない。しかし助手席が開いていたので、そこに私は乗ることにする。

 そこで初めて見知った顔に遭遇する。運転手と後部座席――なぜか振り返るとそこにあったはずの酒瓶の山は消えていた――には、しばらく会ってない昔の知り合いと、今現在親しくしている人たちがいた。

 なんだか満たされたような、寂しいような気持ちで、そういえば鉛筆と消しゴムはどうしただろう、と思い、足元を探す。何かを見つけそれらを掴むと、それらは様々な色をした宝石をかたどったおもちゃのようなものだった。

 そこで冒頭の、〈密林を眼下に飛んでいく映像〉が映し出されエンドロールに出演者のクレジットのようなものが流れだす。

 

といった感じの、なんの落ちもない夢なのだが、妙に気になったので書き留めておく。

小説のような文体を俄に用いたことに深い意味は無いが、なんとなくそちらのほうが記憶に残りやすいかと思ってそうした。

フロイト先生カモン。

*1:生身であり、飛行機などに搭乗しているわけではない